こんな疑問に答えていきます。
✔︎本記事の内容
- 公務員の福利厚生制度
- 具体的な福利厚生サービスの説明
- 使えるものは使っておいた方がいい話
お疲れ様です、公務員大学 総長のはやたです。
私は現役の地方公務員で、2020年4月より公務員生活9年目に突入した中堅職員です。
2021年に県庁を退職し、民間企業へと転職いたしました。
現役の公務員時代は都内の職員住宅(3DK・駐車場つき)に入居し、毎年旅行補助で数万円の割引きを受けていました。一昨年は入籍したので祝い金もいただきました。
受験生・若手職員の方に伝えたいことは、公務員の福利厚生制度はガチで手厚いので、フル活用しないと大損だということです。
そこで今回は公務員の福利厚生制度について、説明をしていきたいと思います。
公務員の福利厚生制度
福利厚生と一口に言っても実は様々な組織や制度が絡み合っています。
公務員の場合、「自治体(省庁)」「共済組合」「職員互助会」が福利厚生を提供してくれています。
- 自治体(省庁):雇い主。休暇や手当ての福利厚生をくれる。
- 共済組合:公務員が加入する社会保険組合。休業補償や年金給付をしてくれる。
- 職員互助会:福利厚生のプラスアルファの部分。代行サービスへの加入など。
それぞれの役割の違いは別に気にする必要はありません。
と言うことが理解できればOKです笑。
自治体(省庁)が提供する福利厚生
職員住宅
会社員でいうところの「社宅」に該当します。
広域移動を伴う国家公務員及び都道府県職員は職員住宅があることが多いようです。
逆に市区町村では職員住宅は用意されていないか、あっても超高倍率となっています。
間取り
単身なら1K~1DK、世帯なら3DKの間取りが多いです。
職員住宅は築年数が古いものが多いので、「〇LDK」ではなく、「〇DK」の間取りが多いですね。
実際私の間取りも3DKでした。
ちなみに、駐車場はついていることが多いです。(東京都など一部都市除く)
家賃
自治体によりけりといったらそれまでなのですが、相場よりはかなり安いです。
単身なら1万円~2万円、世帯でも3万~4万といったところですね。
※東京都の家賃相場はもっと高く、単身でも3万以上はするようです。といっても、賃貸相場の半額にはなるので十分だと思います。
築年数
残念ながら、古いものが多いです。
公務員への風当たりは強く、新たに建設することはほぼ不可能な状態となっていますので。
具体的には、1985年~2000年の間に建てられた建物が多いと思います。
一部の自治体では、借り上げに移行しているところもあるようですね。
≫≫関連記事:公務員の寮(職員住宅)について【家賃・間取り・築年数など】
諸手当
決まっている給料とは別に、加算される部分で「手当」と呼ばれるものがあります。残業代もこの手当に含みます(時間外手当という)
- 住宅手当
- 扶養手当
- 単身赴任手当
- 地域手当
- 児童手当
- 単身赴任手当
- 時間外手当 など
諸手当については、主だったものについて記事を書いていますので、リンクを載せておきます。よければ参考にしてください。
【住宅手当についての記事】
【扶養手当についての記事】
【単身赴任手当についての記事】
【残業単価についての記事】
【サービス残業についての記事】
休暇制度
休暇制度はかなり充実しています。
国家公務員の例
有給休暇:年20日付与
夏季休暇:5日付与(6月~9月に使える)
病気休暇:最大で90日取得可能
その他休暇:産前産後・育児休暇・忌引き・介護休暇etc...
主に使うのは年次有給休暇と夏季休暇ですが、これだけで年25日あります。
それ以外にも例えば病気で入院が必要となった場合に、「病気休暇」を最大90日間取得できます。1か月程度の入院なら余裕でカバーできますね。
さらに細かく見ていくと産前産後休暇や、忌引き休暇もあります。
細かく休暇制度は分かれていて、かなり充実していると思います。
有給の取得日数
有給の取得率は民間より高く、きちんと取得できています。
【有給休暇の取得状況(国・地方・民間)】
国 | 地方全体 | 民間企業 | |
取得日数 | 14.9日 | 11.7日 | 10.1日 |
取得率(※) | 74.5% | 58.5% | 50.5% |
(※)取得率は、1年間の付与日数を20日として独自算定
ちなみに育児休暇の取得率も高く、国家公務員では女性100%、男性16.4%(令和元年度)となっています。
参考:人事院HP(外部リンク)
参考:総務省HP 地方公務員における働き方改革に係る状況(令和2年)(外部リンク)
共済組合が提供する福利厚生
共済組合は、地方公務員等共済組合法の規定により設立される特殊法人です。
難しく聞こえますが、要は公務員の社会保険を担当してくれてる組織です。
地方公務員の共済組合制度は、社会保険制度の一環として相互救済によって組合員とそのご家族の生活の安定と福祉の向上に寄与するために設けられています。この目的にそって「短期給付事業」、「長期給付事業」、「福祉事業(福祉事業、保健事業)」
(千葉県市町村共済組合HPより引用)
具体的な事業としては短期給付、長期給付、福祉事業の3つが柱になりますので、それぞれ説明していきます。
短期給付
短期給付とは、サラリーマンでいうところの健康保険のことです。
公務員の場合、医療機関での窓口負担3割、残りの7割はこの共済組合が支払ってくれます。
これだけだとただの健康保険と同じなのですが、実は手厚い福利厚生の制度が1つあるんです。
高額療養費制度
入院などで医療費が高額になった時、高額医療費の支給を受けることができます。
→健康保険や国民健康保険でも、同様の制度がありますが、公務員は自己負担額がとても少なく済む制度となっています。
具体的には、自己負担が25,000円を超える医療費が発生した場合、自己負担上限は25,000円となり、超過分は後日(おおよそ3か月後)給付されます。
実際に私は一昨年度に盲腸を患い、この制度にお世話になったので、具体例を載せてみますね。
医療費総額:20万円(うち差額ベッド代:3万円)の場合。
高額医療費:14万5千円
自己負担額:5万5千円(自己負担上限2万5千円+差額ベッド代3万円)
表のとおりで、差額ベッド代などの自由診療費は対象外です。あくまでも保険適用の部分が対象ですね。
個人的には最強の福利厚生制度だと思います。病気に対しての安心感が違います。
今は民間なので病気になることが本当に怖いです。
参考リンク:地方職員共済組合HP(外部リンク)
長期給付
長期給付はいわゆる年金のことです。
具体的には、「老齢厚生年金」「障害厚生年金」「遺族厚生年金」などがあります。
福祉事業
健康診断を無料で受けることができたり、お金を低金利で借りることができます。
特に借り入れの制度は種類が豊富で、私の周りでも使っている人も多かったですね。
- マイカーローン
- 医療ローン
- 住宅ローン
- 学資ローン
- 医療ローン
互助会が提供する福利厚生
職員組合とは別に、職員の福利厚生の向上を目的とした「職員互助会」という組織があります。
運営費は月々の給料から天引きされますが、様々な福利厚生サービスを受けることができます。
今までの福利厚生の上乗せ部分のイメージ。
福利厚生代行サービス事業
行政機関によって契約先は異なりますが、ホテルや映画館、動物園などの施設を優待料金で利用できる福利厚生代行サービスに法人加入しています。
国家公務員の場合は「国家公務員共済連合会」、私の県庁では「ベネフィット・ステーション」に加入しています。
自治体によっては割引額からさらに、互助会がお金を補助する制度を取っているところもあります。(1泊あたり3,000円の補助など)
クレジットカード
互助会が法人加入しているクレジットカードがあり、年会費無料で申し込むことができます。
通常年会費5,000円~10,000円程度のゴールドカードが無料になるので、かなりオトクですよ。私も当然使っています。
とはいいつつ、ぶっちゃけゴールドカードのサービスは普通です。メインとして使うには不十分なので、こちらの「公務員におすすめのクレジットカードとは 【最強の1枚を伝授】」にて本当に使えるカードの詳細をまとめましたので、よければ参考にどうぞ。
給付金制度
共済組合の補償・給付に加えて互助会独自の給付金制度があります。
私が所属する自治体の例をサンプルとして載せますが、金額は行政機関により前後します。
結婚祝金:2万円
出産祝金:1万5千円(本人又は配偶者)
死亡弔慰金:20万円(本人死亡)
災害見舞金:2万円~20万円(損害の程度による)
長期在会祝金:10年ごとに2万円
日常用具貸与:単身赴任者へ日常用品(炊飯器・洗濯機・電子レンジなど)を無償貸与
使えるものは使わないと損です
公務員の福利厚生制度はもちろんタダで使えるわけではありません。
現役公務員の方は自分たちの給与明細を見てください。
「共済組合(短期給付)」「互助会」という項目で天引きされているはずです。
※共済組合費のうち、短期給付は保険給付、長期給付は年金に使われます。
福利厚生も給料のうちですよ
福利厚生制度は職員の意志で加入しているわけではありませんが、職員の給料で運営されています。
具体的には、下記の金額が給与から天引きされています。
共済組合(短期給付):43.18/1,000
互助会費:5/1,000程度(行政機関による)
合計で毎月5%程度の負担になっています。
特に給付金制度は申告制ですが、支払ったお金を回収する貴重なチャンスなので絶対に申し込まないと損です。
福利厚生制度も給料の一部のようなものですから、ガンガン使っていきましょう。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
- 公務員は福利厚生の提供元が「自治体(国の場合は省庁)」「共済組合」「互助会」の3つがある。
- 自治体(省庁)は職員住宅や豊富な休暇制度、共済組合は高額療養費制度の上乗せを提供してくれる。
- 互助会は給付金の上乗せや福利厚生代行サービス(有名なのはベネフィット・ワン)への加入がある。
公務員の福利厚生ですが、中小企業から見たら羨ましいものばかりだと思いますね。
大企業の中でも、トヨタとか超大手と比較しなければ、恵まれている部類だと思います。
手厚い福利厚生は公務員の強みですから、受験生は励みに、現役公務員は福利厚生サービスを使い倒す意気込みでいいと思いますよ。
公務員から直接話を聞いた方がいい話
福利厚生に限らず、公務員ライフについて知りたい人は、公務員経験者に聞くのが一番良いです。
経験者は生の情報を持っていますからね。
別記事で現役公務員・元公務員とつながる方法を解説しておりますので、よければ参考にしてみてください。