こんな疑問に答えていきます。
本記事の内容
・団体職員とは
・団体職員の仕事内容
・団体職員の待遇
・規模による待遇の違い
私は現役の地方公務員で、都道府県職員として働いています。(本記事を書いている2020年2月時点ではオリンピック組織委員会へ出向しています。)
本庁で働いていた際は、外郭団体の公益財団法人の管理を2年間担当していたほか、公立病院へ出向していた経験があります。加えて現在はまさに公益財団法人勤務です。
その経験から、団体職員の待遇や仕事内容について熟知していますので、私が知っている知識を共有したいと思います。
団体職員とは
簡単にいうと、営利を目的としない「非営利団体」の団体という意味です。
「非営利」というところが肝で、○○会社というものは団体職員ではありません(「非営利」の定義を話すと長くなりますので割愛しますが、簡単にいうと営利(=金儲け)を目的としていない団体のことです)
身近な団体職員の例を挙げると、下記のような団体があります。
- (公財)日本相撲協会
- (公社)日本医師会
- 農業共同組合(JA)
- 国立大学法人
- 生活協同組合
あくまでも一部抜粋ですが、団体職員は公務員と同じように公共性の高い職業、ということがイメージできるかと思います。
官民共同の「第三セクター」
少し紛らわしいのですが、「第三セクター」と呼ばれる官民共同出資の団体があります。(通称:三セク)。
第三セクターの中には営利を目的としたものも多いので、第三セクター職員=団体職員ではありません。三セク=団体職員と説明している記事を見かけますが、正確には誤りですのでご注意を。
団体職員ではない第三セクターの事例としては、
- 東葉高速鉄道
- 千葉都市モノレール
といった団体があります。
団体職員の仕事内容
団体職員の仕事は幅が広く、「公務員寄り」「民間寄り」の2パターンがあります。
公務員寄りの仕事:いわゆる事務系の仕事。公益財団法人や独立行政法人など、公益職が強い団体の求人は大体事務職の募集です。ホワイトが多いのはこの仕事。
民間寄りの仕事:広報やコンサルティングの仕事。一般社団・財団法人に多い。仕事内容によっては結構忙しいところもある。
団体職員の仕事はとても幅が広いので、仕事内容によって待遇も大幅に変わってきます。一般的にイメージされるのは、公務員寄りの仕事だと思います。
公務員寄りの仕事内容の例
例えば、私が登録している転職サイトでは、ある医療系の独立行政法人がこんな求人を出しています。
仕事内容は、下記の通り。
総務、人事、経理、企画運営、医事、物品調達管理など
いわゆる事務系ですね。まるで県庁の異動先のようです。
このように、公務員寄りの仕事の場合、仕事内容は公務員とほぼ同じとなります。
事務系はホワイトが多い
事務系の仕事は、基本定時までの仕事が多いです。
人事や経理などは、異動や決算期という季節的な要因はあるにせよ、基本的には定時で帰ることができます。
病院へ出向していた際、事務局全体がそのような雰囲気でした。例によって私の席だけ、ちょっと忙しかったりはしましたけどね・・・。
民間寄りの仕事内容の例
つづいて、民間寄りの仕事内容の例を見ていきましょう。こちらはあるスポーツ系の一般社団法人の求人です。
仕事内容は、下記の通り。
・公共施設の管理運営
・企業やクライアントとの打ち合わせ
・メディアへ向けての広報活動
・イベントの準備
・ポスター作成等
おそらく、ここの団体は大阪府内の体育施設の指定管理業者なのでしょう。広報活動やイベント準備など、民間企業とほぼ同じような仕事内容となっています。
大変な仕事もある
私が担当していた外郭団体は、サービス残業・土日出勤が常態化していました。
というのも、福祉スポーツ系の団体であり、イベントを土日開催していたため、土日出勤の回数が膨らんでしまったのです。
また、人数が少ないので代休の取得もままならない状態でした。
当然、すべてがこのような状態だとは言いませんが、中にはとても厳しい環境で働いている団体職員の方もいます。
団体職員の待遇
気になる待遇を見ていきましょう。
給料★★☆☆☆(低い)
団体職員の平均年収は390万円です。(出典:転職会議)
日本の平均年収が420万ですので、若干低めといったところですね。
ただ、これには理由があって、団体職員は「非正規」「若手」の割合が高いことが特徴です。
私が管理していた公益財団法人は零細法人でしたが、1人が年配の常勤で残り4人は若手の非正規でした。
休暇★★★★☆
団体職員は、残業が少なく休暇も取りやすい環境にあります。
注意しなければいけないのは、休暇が取りやすいのはあくまでも「公務員寄りの仕事」を行う団体職員の方であること。
私が管理していた団体は福祉スポーツ系の団体でしたので、毎週のようにイベントの開催や手伝い業務があり、代休取得もままならない状況でした。
こればっかりは、入ってみないとわからないところではありますけれどね・・・。
安定性★★★★★
団体職員は、公務員並みの安定性があります。
経営破綻しない
公益財団法人などの財源は、主に官公庁からの補助金です。財源が公金ということは、自由に使えないデメリットがある一方で、安定財源ということにもなります。
例えば、JOCという団体があります。ここの団体も「団体職員」となりますが、莫大な金額が文科省より交付されています。
財政が厳しいので、縮減はあるにせよ、ゼロになることは想像できませんよね。JOCがなくなったらオリンピックに選手を派遣できまんからね。
転勤がない
全国に支部がない限り、転勤はありません。全国転勤がある団体はあったとしても超レアケースだと思います。私は心当たりがありません。
手厚い福利厚生
大規模な公益法人、独立行政法人ならば、公務員と同程度の福利厚生を受けられます。下の表は、ある求人の福利厚生の例を列記したものです。
昇給年1回/4月
賞与年2回/6月・12月(今年度4.5ヶ月分)
交通費全額支給
社保完備
各種手当(時間外手当・出張手当・住居手当・扶養手当・役職手当・資格手当)
社員旅行
退職金
財形貯蓄
ベネフィット・ワン加入
職員互助会制度
産育休取得実績有
試用期間6ヶ月(同条件)
団体の規模によって待遇に差がつく
団体の規模によって使える予算額に大きな幅があるため、団体職員の待遇は規模に正比例していきます。
例えば、JOCと〇〇市体育協会では、給与体系や人材育成制度、退職制度に大きな差があることは想像しやすいでしょう。
規模の小さい団体は職員個人の代替性がないため、休みづらい、自己資本もないので残業代も出ない、といった職場環境である可能性があります。
小さい団体でも優良な職場環境であるところはたくさんあると思いますが、あくまでも全大抵な傾向としては、団体職員の待遇と規模は比例すると考えてよいでしょう。
まとめ
団体職員の仕事は、非営利を前提としているものの、公務員とほぼ同じものから民間に似たものまで、とても幅広い内容があります。
待遇は好待遇とまでは言えないにしても、公務員に準ずる安定性が魅力です。
団体職員の安定は所属する団体の財政力、つまり団体の規模に依存するので、団体職員に興味があるならば、大きめの団体を中心に考えていく方がよいでしょう。
大変だけどやりがいはピカイチ(実体験)
私が県庁時代に管理していた団体は、福祉スポーツ系の団体でした。
毎年、全国規模の大会が開催されるので、選手を派遣、同行することが私の業務の一つとしてありました。
大会中は5時起き、21時にミーティング終了と、相当つらいものでしたが、大会中に選手たちの笑顔を見ることができて、とても充実感に満たされました。
仕事は下手すると管理している官公庁よりも大変なこともあるかもしれませんが、どこにも負けないやりがいがある団体もたくさんあることが、団体職員の魅力の一つなのだと思います。
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