地方公務員の役職(階級)について
公務員の役職が気になる人
地方公務員の役職って聞き慣れない名前が多いな。主事とか主任とか、何が違うんだろう。誰か教えてくださいな。

こんな疑問に答えていきます。

✔︎本記事の内容

  • 役職と階級の違い
  • 地方公務員の役職と階級
  • 地方公務員の出世競争は激しい?

こんにちは、はやた(@nanpa_komuin)です。

私は9年間地方公務員として働いた元公務員で、退職時の役職は「主任」でした。

公務員は年功序列で出世していくので、役職が上がる年齢や出世スピードはある程度予測することができます。

今回の記事では、地方公務員の役職の目安年齢・給料・業務内容などについて解説していきます。

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役職と階級の違い

似た言葉ですが、役職と階級はまったく別物です。

役職とは

役職とは、いわゆる肩書きです。

係長や課長、ヒラだと主事や主任といったものがあります。

地方公務員の場合、会話の中で管理職手当の出る課長職以上のことを「役職者」として指すこともありますね。

役職は民間企業でも使われているので、役職の使われ方には違和感ないと思います。

階級とは

一方、ややこしい言葉で「階級」という言葉も公務員業界では存在します。

何が違うかというと、階級は肩書きではなく給料のランクを指す言葉です。

公務員の給料は俸給表という給料表で決まっており、給料表の縦軸の部分を「級」と呼びます。

階級は概ね役職と連動しており、役職が上がれば階級も上がる仕組みとなっております。

例えば、私は22歳で入庁した際は1級から始まり、31歳で退職した際は3級でした。

地方公務員では1級~10級まで設けられており、1つ役職が上がれば階級も上がるイメージですね。

地方公務員の役職と階級について

主事

20代前半〜20代後半。ぺーぺーofぺーぺー。

階級は1級〜2級で、年収レンジは300万~450万ほどです。

入庁〜6年目くらいまでの職員。下積み時代のようなもので、異動サイクルは2年〜3年と早めです。(市役所では、主事でも5年異動がないこともあり)

当然、管理職手当はありません。

経験年数が浅く、スライムみたいなレベル。銀行では主事は偉い人につく役職ですが、公務員の世界では底辺層なので誤解なさらぬよう。

仕事内容

仕事内容は定例的なものが多く、政策的な色が強い仕事はほとんど回ってきません。

出先の窓口業務や、申請の受付などが具体的な仕事になります。

主任

スーツを着て仕事をするビジネスマン(若手男性)」

年齢は30歳〜30半ばくらいです。

階級は3級で、年収レンジは450万~550万くらいですね。

入庁6,7年が経過した主事が昇格すると主任になります。主事から主任は年齢や年数で区切っている自治体が多く、基本的に100%昇格することができますね、

※東京都など、すべての昇格に試験を課している自治体も、稀にあります。

異動サイクルは3年〜4年となり、少し長くなります。

また、管理職手当はありませんが、ボーナスに加算される「役職加算」がつくようになります。

仕事内容

仕事内容は主事から少しレベルが上がりますが、政策的な色が強い仕事はまだ任せてもらえません。

定例的な業務の中で難易度が高いものが主です。

主事と同じことをやらせれば手が空くし、主査と同じことをやらせれば少し手に余るため、若干中途半端なポジションになります。(ちなみに筆者はピチピチの退職時主任でした)

なお、すでに出世街道に乗りそうなキャラの職員は、ビッグイベント系の課や花形部署に配置され、エースとして活躍することもありますね。

全体としては、主事より少しレベル上がってスライムナイトくらいの戦力。

主査

30後半〜40半ばくらい。

年収レンジは550万~700万ほど。残業の単価が高いため、残業代によって給料の幅が大きく変わります。

主任に昇格後、各自治体ごとに定めた経験年数が経てば主査に昇格します。

主査までは一律に昇格することにしていて、大体36~38歳で主査へ昇格としている自治体が多いですね。

しかし出世コースに乗り始めた職員は同期より数年早く主査になります。

同期より1年〜2年早く主査になったら間違いなく出世コース。(財政課はそのパターンが多い)

出世に縁のない職員は主査で10年以上止まることも多いことから、役所内では最も大きいボリュームゾーンとなり、主戦力です。

異動サイクルは3年〜5年となるが、5年がデフォルトとなっていることが多いですね。

≫≫関連記事:地方公務員の出世コースとは?パターンは決まっています!

仕事内容

主査になってやっと、政策の企画立案に携わることができるようになります。

自治体の総合計画や人事財政など、行政マンらしい仕事も増えてきます。

また、出先の係は主事・主任を中心とした構成ですが、本庁は主査を中心とした構成になっていることが多いですね。

役所の主戦力であり、その汎用性はまさにキラーマシン。

係長・班長

40半ば以降。

年収レンジは700万以上で、残業が超絶多い部署ならば1,000万の大台に達することもあります。

課長職以上になると残業代が出なくなるため、公務員で稼げるラストの役職と考えている人も多いです。

自治体によって呼び方は異なりますが、4人〜6人程度の係(班)の長。

大抵の職員は退職までに、係長(班長)まではたどり着きます。

係の数だけしかポストがないため、この辺りから出世競争に勝ち抜いている者、溢れた者の差が鮮明になってきますね。

係長への昇格が早ければ早いほど、課長級以上を見越した人事だということになる。

主査と同じく、異動サイクルは3年〜5年が基本。

仕事内容

係長クラスになると、第一線よりも少し後ろに下がって仕事をすることになります。

担当業務を持つというよりは、各担当の仕事の進捗管理と幹部との折衝がメインになりますね。

例えば、ある事業の運営は主査が担当し、係長はその事業の方向性をディレクションしていく、というパターンはよくあります。

また、議会答弁の際に課長と答弁調整を行うのも主には係長級の仕事であり、ヒラの中では最も職責が重たい役職です。

ちゃんと係を統括する係長ならば嬉しいのですが、自分の仕事のみに専念する、担当系の係長も一定数いますこうなると下は独自の判断で動くしかなく、結構つらいですね。。。

下っ端スライムを束ねるまさにキングスライム的な存在。

課長代理、課長

50代前半〜。

年収レンジは800万前後。

ここから、窓際族と呼ばれる役職になります。座席が縦(学校の班会議の形)から横になり、窓側にいるため窓際族です。

いわゆる管理職となり、残業代の代わりに管理職手当がつくようになるのもこの役職から

都道府県・政令市の場合、本庁の課長クラスまでいけば割と出世した部類に入る。課長にいつ昇格したかで、それ以上の役職を任せる人事なのかどうか、なんとなく見えてくる。

すごく残業をする課長と、定時帰りを貫く課長の二極化がされることは、公務員あるあるの1つ。

異動サイクルは1年〜3年と短い。

≫≫関連記事:公務員の管理職手当はどのくらい?【給料減・責任増です】

部長(次長)

50代半ば・後半〜。

目安年収は1000万前後。

各課を束ねた『部』という単位の長。

例えば、一口に福祉関係と言っても『高齢福祉課』『地域福祉課』など、様々な課があります。

系統の近い課を束ねた単位が『部』であり、部長レベルになると少し存在感が変わります。

ただ、直轄の部下がいるわけでもなく、上には局長がいるため、若干中途半端なポジションではあるというのが、筆者の印象ですね。

※役所によっては部以上の単位がないこともあり、その場合は部長が最上位職となる。

ここまで来る同期はレア度がかなり高くメタルキング並。

異動サイクルは課長級と同じく1年〜3年。

局長・理事

50代後半〜

目安年収は1000万超~。

言わずと知れた事務方のトップ。福祉系の局長ならば福祉関連の部署はすべて局長の傘下ということになる。

※自治体により、部長と局長の身分が逆のこともある。部止まりで局がないこともアリ。

同じ局長級に理事、局長代理等があり、個室が与えられる

だいたい局長室に入ると怒られることが多く、自分の上司である課長(おじさん)がさらに年上のおじさんに怒られる様を見るのは少しつらい。

ちなみに、地方公務員で天下りがあるのはこのレベルから。普通の幹部では天下りなどあり得ない。

事務方のトップであり、まさにりゅうおうと言うべき存在。

副知事(副市長)

各自治体職員の最高位。事務方と一線を画すことになり、『特別職』の公務員となる。(局長以下を一般職という。)

目安年収は自治体によりさまざまなので、何ともいえません。

副知事は2人の自治体が多いが、3人制を採っている自治体もある。横断的な職務が多く線引きが難しいところだが、各副知事はそれぞれ担当の局を持っている。

数世代に1人のレベルであり、どうやったら昇格できるのか下っ端の人事課職員ではわからないほどである。下っ端から見ると存在感はゾーマ級。

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公務員の出世競争は激しい?

権力をめぐり、し烈な権力争いが繰り広げられているイメージが強い公務員ですが、マジでそんなことはありません。

出世欲がある人は一握りで、ほとんどの職員はヒラのままがいいと考えています。

課長になると給料が下がる問題

公務員の場合は課長職以上になるよりも、係長クラスでバリバリ残業しまくる方が稼げます。

これは、管理職手当が支給される職員は残業代(時間外手当)が出なくなるという制度上の問題です。

例えば、神奈川県の資料を見ると下記の幅で管理職手当は支給されます。

管理職手当

管理職手当:66,400139,300

66,400円は課長クラスで、139,300円は部局長のトップの金額だとわかります。

ですがこのくらいの金額だと、繁忙部署では残業代の方が稼げてしまうんですよね。

特に課長の手前の係長クラスは残業単価も高く、3,000円以上になるので、多くの場合で給料が下がってしまうのです。

≫≫関連記事:公務員の管理職手当はどのくらい?【給料減・責任増です】

先の見える人生に嫌気が差してきた人へ

公務員は良くも悪くも安定しているため、5年後・10年後・20年後の人生が確定しています。

ですが公務員を何年か続けていると、そうした人生から脱却して自分のやりたいことをしたい、実力主義の世界で頑張りたいと考える人もいると思います。

そうした人向けに、当ブログでは公務員からの転職に関する記事も執筆しておりますので、よければチェックしてみてください。

≫≫「公務員から転職」に関する記事一覧はこちら

まとめ

記事のポイントをまとめます。

役職 階級 仕事内容
主事 1級
2級
定例的なルーティンの仕事が多い。
主任 3級 主事よりも難しい仕事が増える。
主査 4級 政策の企画立案、実行など。
係長(班長) 5級 政策全体の進捗管理、係の総括業務がメイン。

課長代理

課長

6級
7級

議会対応、公式行事の出席。

文書の発出も課長名が多い。

部長 8級

各課の調整が主な仕事。

局長 9級
10級
議会答弁や知事、副知事への対応。
副知事
副市長
自治体による 担当する政策全般の責任を負う

また、残念ながら出世したいと考えている地方公務員は少ないです。

個人的には、出先の課長くらいでのんびり過ごすのが、公務員の醍醐味なんじゃないかなと思いますね!

≫≫関連記事:公務員の安定はガチです【病気でも安心】 

≫≫関連記事:公務員はなぜ上から目線で偉そうなのか。その理由は公務員という仕事そのものにある

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