公務員はサービス残業地獄なの?【元公務員が解説します】
公務員はホワイトなイメージだけど、黒い噂も聞くな・・・。サービス残業が当たり前だと嫌だなあ。公務員のサービス残業の有無について教えてくださいな。

こんな疑問に答えていきます。

本記事の内容

  • 公務員の残業の実態
  • サービス残業が発生する理由
  • サービス残業を防ぐ方法
  • 働き方改革の影響は?

こんにちは!元公務員ブロガーのはやたです!

私は2012年から2021年までの9年間、地方公務員として仕事をしていました。

現在は民間企業へと転職し、会社員として生活しています。

2020年~2021年前半には、河野大臣(当時)による国家公務員への残業代の満額支給が世間を賑わせました。

公務員にもサービス残業があったことが公になったわけですね。

私自身はほとんどサービス残業をさせられたことはないのですが、サービス残業をしていた職員は周囲にたくさんいました。

そこで今回の記事では、現場の感覚としてサービス残業はどの程度存在するのか、なぜ発生してしまうのか、解説していきたいと思います。

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公務員の残業の実態

公務員の残業時間は公表されていて、下記の通りです。

【地方公務員の時間外勤務】

<全体>

  • 都道府県:約150時間/年(12.5時間/月)
  • 政令指定都市:約174時間/年(14.5時間/月)
  • 県庁所在地:約160時間/年(13.3時間/月)

⇒全体平均:約158.4時間/年(13.1時間/月)

<本庁>

  • 都道府県:約223時間/年(18.5時間/月)
  • 政令指定都市:約234時間/年(19.5時間/月)
  • 県庁所在地:約198時間/年(16.5時間/月)

⇒本庁平均:約219時間/年(18.3時間/月)

<出先>

  • 都道府県:約106時間/年(8.9時間/月)
  • 政令指定都市:約144時間/年(12時間/月)
  • 県庁所在地:約118時間/年(9.8時間/月)

⇒出先平均:119時間/年(9.9時間/月)

(出典:地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果の公表))

国家公務員の場合は下記の通り。

【国家公務員の時間外勤務】
  • 全府省:226時間/年
  • 本府省:356時間/年
  • 本府省以外(出先)198時間/年

本府省では残業時間が360時間超の職員が44.7%、720時間を超えた職員が7.4%。

(出典:人事院年時報告書(令和元年度)

特に国家公務員の残業時間について「思ったよりも少ない」と感じると思いますが、これはあくまでも実績値だからです。

後述するように申請しないで仕事をしている人もいるので、実際にはもっと多くの残業が発生しています。

霞ヶ関はサービス残業地獄

下記のツイートを見てください。

このツイートは、河野太郎行政改革大臣(当時)が国家公務員の残業未払いを禁じた際に起きた出来事です。

<strong>【国家公務員の時間外勤務】</strong>
  • 2020.214時間しか残業の申請が認められていない
  • 2021.2122時間の残業の申請が認められた

そもそも122時間の残業ってどうなのという気もしますが、実に毎月100時間以上のサービス残業が横行していたということになります。

まさにサービス残業地獄。

ただ、国家公務員の友人からは、河野大臣の影響で状況はかなり改善されたと聞いております。

同時に、大臣の交代も起きておりますので、特に国家公務員の残業代がどうなるか、今後の動きは要チェックでしょう。

私はサビ残したことありません

自分の実体験を話すと、私は8年間の公務員生活の中で、1時間たりともサービス残業をしたことがありません。

  • 1年目 出先 税務部門 0時間
  • 2年目 出先 税務部門 0時間
  • 3年目 本庁 福祉部門 750時間
  • 4年目 本庁 福祉部門 600時間
  • 5年目 出先 医療部門 500時間
  • 6年目 出先 医療部門 350時間
  • 7年目 出向 オリパラ組織委 500時間
  • 年目 出向 オリパラ組織委 600時間

元から忙しい部署を回されているので、残業代だけはきちんともらっています。

感覚的には、6割の部署はきちんと残業代は出ます。3割はちょっと制限がかかる。(水曜日のノー残業でーはダメとか。)1割はサビ残が横行。こんな感じかと。

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サービス残業が発生する3つのパターン

公務員のサービス残業には、いくつかの決まったパターンがあります。

1:残業代の予算がない

公務員の残業代は、部署ごとに割り振られた予算の中でしか払うことができません。

残業代の予算が豊富な部署ならば残業代は青天井ですが、予算が乏しい部署ではサービス残業が横行します。

部署の残業代の予算は、前年度実績ベースです。

前年度忙しかった部署には豊富に予算が割り当てられます。

そのため、今サービス残業を見過ごしていると、来年もサービス残業を強いられることになります。

2:残業の申請が却下される

残業というのは、本来「上長から時間外勤務の命令を受けて行うもの」です。

そのため、部下が残業の申請をしたとしても、上長が時間外勤務の申請を却下すれば、残業は発生していないことになります。(あくまで管理上の話)

パターンとしては、残業代の予算が厳しくなってくると締め付けが厳しくなり、1時間や2時間の申請だと却下されるようになります。

要は「部下が仕事を勝手にやっているだけ」という状況を作り、サービス残業を放置するというやり方なので、管理職としては最低の行動ですね。

3:申請がしづらい雰囲気がある

3つ目は不思議な話ですが、職場によっては残業を申請しないことが美徳とされる風潮があります。

私の友人が残業の申請がしづらい雰囲気の部署にいたことがあり、話を聞くと下記の様子とのこと。

  • 2時間以内の残業は申請しない
  • なぜか申請時間を1時間短くする
  • ノー残業デーに残業申請すると怒られる

「残業」がしづらいのではなくて、「残業の申請」がしづらいという意味不明な空気が蔓延している職場も少なからずあるわけです。

これも管理職が部下の管理を放置しているわけなので、管理職の仕事をしない怠慢行為だと思いますよ。

サービス残業を防ぐ方法

サービス残業をしないためには、2つの方法があります。

①組合を使う

予算がつけば残業代がきちんともらえるわけですから、所属部署の課長、総務がきちんと機能すればいいわけですね。

しかし職員個人の立場で戦っても限界があるので、組合に動いてもらいます。

  • きちんと残業を申請する
  • 申請を拒否される場合は日々の残業記録をつける
  • 証拠をまとめて組合に持っていく

ここまですれば、あとは組合が人事と交渉してくれます。

国家公務員の場合は、河野大臣(当時)から「内閣人事局へ通報してね」とお達しが出ておりますので、即通報でもいいかもしれません。

②残業そのものをなくす

仕事のスピードを上げて残業時間を最小化し、予算内で収められるようにすればサービス残業はなくなります。

屁理屈みたいですが、実際にこの手法でほぼサービス残業をなくした同期もいます。

彼は年間で600時間ほどの残業があったそうですが、認められた残業は300時間程度。半分はサービス残業という状態でした。

そこで彼は一念発起し、仕事を効率化。1か月の残業時間を20時間~30時間ほど減らすことで、自身の労務実態と合わせるようにしたそうです。

力技ですが、仕事のスピードに自信がある人は良いかもしれませんね、早く帰れますし。

≫≫関連記事:忙しい公務員に読んでほしい本5選 【残業減らせる】

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働き方改革の影響は?

20194月から「働き方改革」が本格的に動き始めましたが、サービス残業について法制度の見直しはあったのでしょうか。

結論:サービス残業についての言及なし

働き方改革が是正を目指しているものは、下記3つの項目です。

・長時間労働

・雇用形態による格差

・労働力人口の低下

長時間労働の是正のため、「月間45時間以内・年間360時間以内(例外あり)」を原則とし、違反する場合は刑事罰による罰則規定が定められました。

大きな前進だとは思いますが、「サービス残業が発生する3つのパターン」で述べたように、残業の申請を却下する、申請をさせない上司が増える可能性があります。

働き方改革は本格化してくる

働き方改革はこれからどんどん本格化していきます。

私が所属する自治体では、数年前から財政課のヒアリングは「17時以降は事業担当の「呼び出し不可(経理担当者が対応)」「経理担当者の土日呼び出し不可」が徹底され、残業が相当縮減されているようです。

要は残業なんて減らそうと思えばいくらでも減らせるんですよね。

これからどんどんサービス残業、長時間労働に対する風当たりは強くなってくるでしょう。

まとめ

記事のポイントをまとめます。

  • 地方公務員・国家公務員の残業時間は公表されているが、サービス残業が隠れているため、実際の残業時間は公表値よりも多い。
  • サービス残業が発生する理由は「予算がない」「上司が部下の残業申請を却下する」「残業が申請しづらい雰囲気」の3つ。
  • サービス残業を減らすには個人で証拠集めをした上で、組合や内閣人事局などの組織を使って戦う方が効率がいい。
  • 働き方改革によるサービス残業への影響は、まだ限定的。

サービス残業は絶対悪なので、明日にでもゼロにして欲しいですよね。

ただ黙っていてもサービス残業は無くならないので、自分が当事者になってしまったら戦い抜きましょう!!

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