こんにちは!公務員大学 総長のはやたです。
私は元地方公務員職員で、2012年度という公務員の氷河期に県庁へと合格しております。
もちろん、最終的に選んだ県庁以外にも複数の試験を受けておりまして、下記の3つを併願で受験しました。
- 裁判所事務(一般)
- 東京都特別区Ⅰ類
- 地方上級(都道府県)
いずれも2次試験まで進んだのですが、残念ながら2次試験を通過できたのは「地方上級」のみでした。
公務員試験は全滅か全合格か分かれやすいと言われておりますが、私の場合は地方上級に拾われる形となりました。
なぜ、裁判所と特別区は不合格で、県庁は合格だったのか。
私の面接の時の実例と、2次試験の分析について、お話したいと思います。
合否の基準
「一緒に働きたいかどうか」が分かれ目
まずは面接試験における合否の基準について、考えてみましょう。
試験官はマニュアルに沿い、評点項目をチェックしていきますが、その評点基準とは一体何なのでしょうか。
新人の頃、人事課の方へ聞いたことがあります。
その答えは、「その人と一緒に働きたいと思えるかどうか」とのこと。
つまり、面接試験で落ちるということは、「一緒に働きたくない人」だと思われたということになります。
☑ストレス耐性がない人
☑コミュニケーション能力が低い人
☑一般常識がない人
⇒「一緒に働きたくない人」
ストレス耐性がない
役所の仕事は、住民対応や上級庁・議員との折衝など、板挟みとなり悩みことがとても多い職種です。
一般的にイメージされるルーティンワークは、外注されてしまっているか、非常勤職員さんが対応しているため、正規職員はあまり配属されていません。
時には住民から罵声を浴びせられることもあり、役所の人間はには高いストレス耐性、すなわち打たれ強さが必要です。
面接時、少し圧迫気味に質問をかける事例があるのはこのためです。
強迫気味に質問をされても、落ち着いて回答ができるように、備えておくことが必要です。
コミュニケーション能力が低い
これはわかりやすいかもしれませんね。
役人に限らず、コミュニケーション能力が低い人は対人業務には向きません。
役所の仕事は個人法人の違いはあれど、ほぼ100%人と関わる仕事をします。
<コミュニケーション能力の高低イメージ>
自分が地域住民だとして、自分の生活にかかわる相談を、どちらの職員にしたいでしょうか。
話し方、話の組み立て方、自分の見せ方が信頼に足る人物になっているかどうかを意識することが大切です。
一般常識がない
一般常識がない人は、住民と接することはできませんから、不合格一直線です。
☑TPOをわきまえた発言ができない
例えば、面接時のマナーが全くなっていない人。ノックもせず、挨拶やお礼もない。(そんな人いないと思いますけど)
面接なので受験生は立場は下です。面接官からの質問に対する回答ではなく、一方的に自分の意見を言いたいことを言ったり、否定的な発言をしたり。
適切なコミュニケーションをとるために必要なマナーが備わっているかどうかも、重要なポイントです。
事例①:裁判所事務(一般)
面接の内容
裁判所事務には、「圧迫面接」を行うというウワサがありますが、本当です。
他の試験にはないプレッシャーをかけられました。
入室して元気よく挨拶しても無表情な面接官さま。挨拶もそこそこに2つの質問がとんできました。
「志望動機」はいいです、準備してきましたから。
「民間と公務員の違い」については、準備していなかったわけではありませんが、「3つ」というところでテンパってしまいました。
上手く答えられずしどろもどろな発言をした後、面接官は全く助け舟を出さずしばしの沈黙。
残りの時間は他愛もない質問をいくつかして終了。結果は言うまでもなく不合格。
辛かったのは、面接官が終始ムスっとした表情であったこと。
不合格の理由
これはわかりやすいですね。「民間企業と公務員の違いを具体的に3つ教えてください」という質問に上手に答えられず、「コミュニケーション能力が低い人」に認定されてしまったと考えられます。
質問が来た時テンパってしまい、黙り込んだ後にモゴモゴして聞き取りづらいしゃべり方をしてしまいました。
「申し訳ありません。1つは思いついたのですが、もう2つの違いは思いつきません。勉強不足で申し訳ありません。」と、わからないことはわからないと即座に認め、それをハッキリと伝えることがこの面接での教訓です。
また、何でもいいから答えてみるという姿勢も必要だったのかと考えられます。やはり、黙り込むことは仕事をしていく上でもNG行為ですから。
ハキハキしているスポーツマンのはずが、少しつらくあたってみたらアウアウしているようでは、矛盾していますよね。不合格は妥当だったと思います(笑)。
事例②:特別区Ⅰ類
特別区Ⅰ類は、第一志望でした。志望する区の政策も調べましたし、質問についての回答パターンを最も多く準備したのがこの試験でした。
実際に聞かれた質問は、
- 学生時代に頑張ったことは何か?
- あなたの長所と短所は?
- 特別区に入ったらどんなことがしたい?
です。いずれもスタンダードな質問だったので、ハキハキと答えることができました。
シンプルな質問なのでゼミやスポーツをやり遂げた青年なら回答に詰まることのない内容であり、きちんと内容も掘り下げて回答もできておりました。
しかし、結果は惨敗。2人に1人合格し、コミュ障でなければ合格するとさえ揶揄される特別区の面接に、まさかの落選でした。
明らかに楽勝と思っていただけに、ショックを隠し切れませんでした。
不合格の理由
冷静になって分析してみると、私は気合が空回りし、自分が言いたいことだけを言ってしまっていたことに気が付きました。
つまり、コミュニケーション能力が低い、一般常識がない人だと判断されたのだと思います。
下記の場面は間違いなくマイナス評価となったところだと思います。
この質問に対して、当方は全力で自分の答えをぶつけました。
ゼミで研究していた分野について、水を得た魚のように、ベラベラとしゃべったのです。
これは、プラス思考で考えると、「自分の考えをきちんと伝えた」となります。
しかし、客観的に考えると「素人が知識をひけらかしながら年配の上司に意見した」となります。
一方的にこちらの得意分野について説明しただけで、キャッチボールになっていませんでした。
今や私も30歳の中堅職員ですが、大学生から政策について意見されたら、「何言ってんだコイツ?」という顔をすると思います。真面目に、そう思います。
自分の意見をペラペラしゃべるのではなく、きちんとTPOをわきまえて発言すべきでした。
この場面であれば、もう少し抽象的な話をして、面接官から具体的な内容を再度質問させて答えるという流れが理想でした。
事前準備をしっかりしよう
面接の答え方は二つしかありません。
- あらかじめ答えを用意しているものをそのまま答える
- 答えを用意していなかった質問は内容を吟味し、考えながら答える
この2つです。
面接官は面接中、受験生の理論武装をはがして、受験生の人間としての本質を見抜こうとします。
受験生は必死に覚えてきたことの中から答えを引き出そうとしますが、それは本末転倒です。
面接官は受験生が壁に当たった時の反応を見ようとしているのですから、下手に取り繕おうとせず、素直に回答していけばよいのです。
大事なことは、焦ってしまいそうな場面で、平静を保つことです。
面接の準備は、あれこれ記憶したことをアウトプットするのではなく、
- 話し方(ゆっくりハキハキ話す)
- 予期せぬ質問への切り返し方
- 平常心の保ち方
を練習しておくべきです。
面接官はあなたが暗記してきた話を聞きたいのではなく、どういう人間かを知りたいのです。
私のように本来の自分と違う人間だと思われてしまうと、悔やむに悔やみきれません。きちんと準備をし、あなたという人間がどういう人物かということを、アピールできるように準備をしていきましょう。
最強の面接対策は公務員から直接話を聞くこと
話の軸がブレてしまうのには、自己分析不足もありますが、公務員という職種への理解度が不足していることが最も大きな要因だと思います。
話の軸がブレないように、公務員という職種についてイメージを膨らませておくことが重要ですね。
実際に公務員から直接話を聞く方法がありまして、別記事にて解説しています。
合格のためにできることは全てやっておきましょう、不合格になってからでは遅いですよ。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
- 合否の基準は、「一緒に働きたい人かどうか」
- ストレス耐性がない人、コミュニケーション能力が低い人、一般常識がない人は求められていない。
- 実際の面接では、一方的に話したり、質問に対しての切り返しに失敗をしてしまうと、コミュニケーション能力が低い人だと判断されてしまう。
- 質問に対しての回答をたくさん用意するのではなく、切り返しの方法や話し方、マナーを徹底して学ぶことが適切な対策である。