お疲れ様です、公務員大学 総長のはやたです。
今回のテーマは、地方公務員の出世コースです。
「役人になったからには、偉くなって政策決定をしていきたい!」と志す大変志の高い方、いらっしゃると思います。
また、公務員は仕事柄、評価が難しい職種です。そのような中、一体どういう基準で幹部候補を選んでいるのか、気になる方もいる方と思います。
今回の記事では、公務員の出世コース、出世コースに乗る方法や評価基準について、お話をしたいと思います。
地方公務員の王道出世コース
地方公務員には、出世の王道コースというものがあります。
地方公務員は、30代半ばくらいまでは、年功序列で一斉に昇格していくことが多く、役職に差はつきません。しかしそれ以降は、上に行く人とそうでない人で、明確な差がついてきます。(もちろん選別は20代から始まっています)
人事は、ある特定の3つの部署を通ることで選別を図っています。
これらの部署へ配属された場合、本人は否定しても、人事からは「いい意味で」目を付けられてしまったということになりますね。
人事
人事権を掌握している部署ですので、当然優秀な人材が集められます。
ヒラ職員はあまりかかわることがなく、自分の部署の人事担当者すらわからないことがほとんどです。
人事課の職員は、各部署の人事を行うわけですから、洞察力が高く、人間的には穏やかでコミュニケーションが上手な人が選ばれる傾向にあります。
財政
出世部署としてもっとも有名なところは財政課です。
役所のサイフを握っている部署であり、現役公務員の皆さんが常に恐れおののいている方々が集まっているところです。
自治体の各部署の予算を決める部署であるため、高度な折衝能力と判断能力、情報収集能力が求められます。時には厳しい判断をする必要があるため、精神的なタフさが求められます。
頭の回転が速く、決断力があり、肉体的にもタフネスなタイプの人が選ばれる傾向にあります。(あとなぜか気が短い)
余談ですが、予算編成の時期ではいわゆる「査定」を行い、各部署の予算を決めるイメージが強いですよね。でも実は最も大変な仕事は交付税の算定だと、財政出身の先輩は言っていました。先輩曰く、重要なのは歳出よりも歳入の方なのだと。
企画
人事や財政が自治体の手や足だとしたら、企画は「頭」の部署です。
企画課という名称以外に、「政策企画課」「政策戦略課」「市長戦略課」といった名称の自治体もあると思います。
自治体の総合計画を策定したり、横断的な業務の交通整理、旗振り役になる部署が企画部門の業務です。
財政課の頭のキレと、人事課のコミュニケーション(調整)能力を足したような人材が集まります。
激務部署は出世の登竜門
前述の3部署の共通項、それは「激務であること」です。
有名なものは財政課の予算査定、人事課の人事はめ込みのシーズンですが、これらのピーク時には100時間の残業は当たり前とされています。
今では「財政課のヒアリングは定時以降行わない」といった取り組みがなされ、多少改善されているようですが、それでも激務であることに変わりはありません。
「財政に行けば家が建つ」という格言が私の勤める自治体にはあるほどですから、どれほどのハードさかは想像に難くないでしょう。
業務上の負荷が高いところへ幹部候補生を送り、さらなる経験を積ませて花開かせようというわけですね。
その他の出世コースもある
出向
「人事・財政・企画」の3部署への異動のほか、国や民間への出向という形で出世コースを歩み始める場合もあります。
国や民間への出向は20代後半~30代前半の若手時代に経験させられることが多く、出向した場合は将来の「色」がつく格好となります。
- 厚労省へ出向→福祉系の幹部候補
- 国交省へ出向→土木系の幹部候補
上記の2つはわかりやすいと思いますが、そんなイメージです。
出向先は概ね自治体からの出向者が多い部署になるのですが、自治体は結構人を選んでいるなぁと感じますよ。たまに、何でこいつが?という人もいますけど。
出世コースに乗る方法
実際に仕事をしていない新人の頃では、優劣のつけようがありません。(首席合格や次席合格は別として)
公務員として業務をスタートしてから、評価がされてきます。
そして若手の人事サイクルというものはほぼ固定されていて、似たようなルートを通ります。そこで知らぬうちにふるいにかけられており、将来の行く末が決まってきます。
第一関門:激務部署を乗り越える
若手は人事異動のサイクルの中で、高確率で本庁の忙しいところ(人事や財政ではない事業担当部署)を経験します。
そこで長時間の時間外労働実績を積み、大きなミスなく業務をこなしていると上司が判断してくれれば、自然と出世街道に乗り始めます。
私の実体験を話すと、私は本庁の頃に同期と同じ係でした。我々の係は人手不足による人員増と補充で若手の2人があてられたのですが、同期は業務量に押しつぶされ全く機能せず、叱責されたまま異動の時期を迎えてしまいました。
私はその後、公立の病院へ出向というまぁ普通の人事異動だったのですが、同期は縁もゆかりもない出先機関の、2人しか正規職員がいないような課へと配属されました。人事を担当していたことがある係長が、「もうこうなったら終わりなんだよなぁ」と呟いたことはいまだに忘れられません。
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第二関門:出向や出世3部門を乗り越える
第一関門の激務部署での生き残れるかどうかは、いうなれば自治体職員としての生存競争です。
本庁である程度の業務をこなすことができると判定されると、第二関門である出向や出世3部門(人事・財政・企画)が待ち構えています。
そこからは生存競争ではなく、同期以外も含めた職員間の競争が始まってきます。
主任~主査時代にこの第二関門が訪れるわけですが、ここで高い評価を得ると、あとはトントン拍子です。
勝負のカギは、ここでも同じ。潰れずに職務を全うできるか否か、それだけです。
え?筆者はどうかって?
察してください・・・・・・・・・・・・・。
まとめ
- 地方公務員の出世コースは、人事・財政・企画の3部門への異動が基本
- 国などの上位機関、民間への出向といった別ルートもある
- 出世コースに乗るための共通事項は、激務部署を経験し乗り越えること
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