こんな疑問に答えていきます。
✔︎本記事の内容
- 公務員試験はノー勉で合格できない理由
- 公務員試験にノー勉で合格する方法を模索する
- 「ノー勉で合格した」という情報を考察する
お疲れ様です、公務員大学 総長のはやたです。
公務員を志す際、誰もが「勉強なしで受かりたい」と思います。
ネットでは「ノー勉で公務員試験に合格した」「公務員試験は簡単」と発信する人もいますが、それは本当なのでしょうか。
結論としては、ノー勉で公務員試験には合格できないので、きちんと勉強するしかないのですが、その理由について説明していきたいと思います。
公務員試験はノー勉で合格できない理由
断言しますが、公務員試験はいわゆる「ノー勉」で合格できる代物ではありません。
私は3か月強で筆記試験をパスしましたが、3か月とはいえ集中的に勉強し、1,000時間近くの時間を費やしています。
どんなに頭が良い人でも、簡単に合格できるものではありません。その理由を説明したいと思います。
公務員試験は難易度がとても高い
公務員試験は難易度が高い試験で、合格には大体1,000時間程度の勉強が必要です。
なぜ1,000時間もの勉強時間が必要かというと、試験範囲がとてつもなく広いから。
- 一般教養:文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈
- 一般知識:日本史、世界史、地理、化学、生物、地学etc
- 専門科目:憲法、民法Ⅰ・Ⅱ、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学、政治学、行政学etc
パッと思いつく代表的な科目だけで、教養科目・専門科目の合計で20科目近くが挙げられます。
(教養科目はさらに細分化できるので、実際の科目数はさらに多いです。)
そして公務員試験に合格するためには、これらの科目でそれぞれ6割程度の正解を得る必要があります。
筆記試験はマークシートですが、初見で解ける問題なんてほとんど存在しません。
特に専門科目、教養の一般知能の分野は不可能だと断定できます。
もちろん、法学部や経済学部は多少の優位性はありますが、「多少マシ」程度のレベルなので、学部の違いは本質的な話ではありません。
ちなみに、公務員試験合格に必要な勉強時間については、下記の記事にて詳細を解説しています。
≫≫関連記事:公務員試験合格に必要な勉強時間と進め方【元公務員が監修】
合格者のほとんどが予備校に通っている
新人時代に周りの職員に聞いて回ったのですが、ほぼ100%の職員が予備校に通っておりました。
予備校に通って勉強していない人はいないと思うので、合格した人はみんな勉強を頑張っていたということですよね。
もちろん、独学者だって頑張っているわけですが、合格者の大多数が予備校通いだったことを考えると、「ノー勉で受かる試験だ」と結論づけることは難しいでしょう。
公務員試験にノー勉で合格できる方法を模索する
公務員試験は難易度が高く、ノー勉での合格はムリ!と結論づけるのは簡単ですが、なんとか抜け道を見つけたい方もいるでしょう。
そこで完全な「ノー勉」、あるいは勉強時間が最小で済む方法をいくつか挙げてみたいと思います。
①筆記試験のない機関を受ける
実は筆記試験が課されない公務員試験が実在します。
しかも、ちゃんとした規模の地方自治体で。
どこかと言いますと、大阪府の守口市役所の採用試験です。
守口市役所は試験形式が特殊でして、下記の通り全て面接で合否を判定する試験形式をとっています。
- 一次試験:動画面接
- 二次試験:個人面接及び適性検査
- 三次面接:個人面接及び性格検査
一次面接の時点で筆記試験や書類選考など、事前のスクリーニングはありませんので、全員面接を受けることができます。
そして筆記試験については適性検査のみであり、教養科目や専門科目はありませんので、勉強は必要ない試験となっています。
ただし、人気も凄まじく倍率が100倍近くまで上がっています。
- 応募者総数:623人
- 一次受験者:468人
- 最終合格者:6人
- 最終倍率:78倍(468÷6)
守口市役所HPより抜粋
通常の公務員試験であれば、最終合格率は5倍前後となることが多いため、78倍という数字は規格外です。
ですので、難易度はかなり高いですが、筆記試験のない採用試験もあることはありますね。
≫≫関連記事:【実例】公務員試験の2次試験(面接)で不合格となるパターン
②試験内容がSPIの採用試験を受ける
行政機関によっては、教養科目の代わりにSPI試験を課している自治体もあります。
例えば、千葉県市川市は教養科目、専門科目はなくSPIと面接で合否を判定しています。
SPIならば就活で対策をした人もいると思いますので、公務員試験のための対策をする必要はなくなりますね。
ただ、私は市川市の採用試験を受けたことがあるのですが、全然時間が足りなくなってしまったので、SPI対策はしっかりしておく必要がありますよ。
③「コネ」での採用
いわゆるコネを使った入庁ですが、現実的には難しいのと、そもそも勉強時間とは関係がありません。
なぜならば、コネクションが効くのは二次試験以降、いわゆる面接試験からなので。
公務員試験の一次試験は大半が筆記(マークシート)で、業者が集計しますから、コネクションが入り込む余地がないんですよね。
ですので、コネクションの有無というのはまた別次元の話ですが、そもそも筆記試験をパスしないとコネの力を発揮する土台にまで立てないということになります。
なお、余談ですが、当方の知人で「県議会議員に口利きしてもらった」人がいたのですが、面接試験で落ちました。
本当に県議が口利きしたかが定かではないので、真偽は分かりませんが、役所のコネ採用がバレたら大問題なので、コネ採用自体が現実的ではないと考えます。
≫≫関連記事:公務員試験にコネ入庁はある?元県庁職員が考察します。
加点制度で有利になることはできる
秋田県庁など一部の自治体では、資格を持っている人に加点をする制度があります。
詳細は「公務員試験に有利な資格とは【無料で受ける方法あり】」にてまとめてありますので、気になる人は参考にどうぞ。
「ノー勉で合格した」という情報の信頼性を考察する
確かに、ネット上では「公務員試験の難易度は低い」「勉強ゼロでも受かった!」という情報は出てきます。
仮に本当だとしても、倍率が極端に低い地方の自治体や、SPIだけの自治体と言った背景が隠れている可能性があります。
また、ちゃんとした筆記試験がある自治体でも、「運よく」倍率が極端に低い年に当たることもあります。
例えば、千葉県の「大卒程度・一般行政B」という試験区分では筆記試験の倍率は1.2倍でした。
ラッキーパンチが当たることもありそうですが、奇跡を期待してても仕方がないですよね。
公務員試験に合格したいなら、変に穴場や裏技を探すのではなく、じっくり勉強をすることが一番の近道ですよ。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
- 公務員試験は試験範囲が広く、通常は1,000時間の勉強が必要な試験であり、ノー勉での合格は困難。
- どうしても勉強時間を少なくしたいなら、「面接のみ」「SPIのみ」の採用試験を探す。
- コネは筆記試験では効果なし。(そもそも公務員試験でコネが効くのか疑問)
- 年によっては筆記試験の倍率が極端に上下することもあるので、ラッキーパンチで受かることもあることはある。
繰り返しますが、公務員試験は難易度が高く、ノー勉で合格できる見込みは低いので、素直にじっくりと勉強しましょう。
それが合格の最短ルートです。
≫≫関連記事:公務員試験の難易度・合格率を元公務員が考察してみた