地方公務員における大卒(上級)と高卒(初級)の違いをまとめてみた
公務員を目指したいけど、高卒で受験した方がいいのか、大学を出てからの方がいいのか、わからない。
初級(高卒)試験と、上級(大卒)試験て、入庁後何が違うんだろう。

おつかれさまです、公務員大学 総長のはやたです。

今回のテーマは、公務員試験における『高卒』と『大卒』の区分の違いです。地方公務員試験では、大卒を『上級』、高卒を『初級』と呼んで区別することが一般的ですね。

地方公務員試験では、国家公務員試験の『総合』と『一般』のように、学力により差別化を図ることはなく、高卒か大卒かという学歴で区分しています。

今回の記事では、収入や出世、人間関係など、現役公務員としての見聞を元に、高卒(初級)と大卒(上級)の違いをご説明差し上げたいと思います。 

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高卒と大卒の収入の違い

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正直、お金のことが一番気になる。

高卒と大卒では、当然ながら初任給が異なります。

例えば、東京都の場合を見てみましょう。(勤務条件|人材育成・人事制度|東京都職員採用

  • 1類B(大卒)・・・約219,200円
  • 3類(高卒)・・・・約173,500円(▲45,700円)

その差は45,700円。大卒の8割ほどの月収となります。

しかしながら、公務員には定期昇給があります。自治体にもよりますが、主事級(20代後半までの若手)ならば1年ごとに7,000円〜8,000円程度上がっていきます。東京都の場合はさらに地域手当20%があるので、ほぼ毎年1万円の給与増となり、4年後には追いついている計算となります。

また、定期昇給は試験区分による差異はないことが基本です。追いついた後も、大卒と同じように昇給していきます。

したがって、収入による差は生じないということになります。

むしろ大卒では、大学4年間分の学費・住居費などコストがかかっていますから、経済的観念のみに着目すれば、高卒の方がよいのかもしれません。

数字で見るとわかりますが、意外ですよね!

高卒と大卒の人事異動の違い

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公務員には、異動サイクルというものがあります。

これは自治体により基準が異なりますが、通常の職員は3年から5年で異動をすることが多いです。

しかし若手の頃には教育期間があり、3年サイクルで2箇所、2年サイクルで3箇所というように、なるべく短い間に色々な部署を経験させられることが一般的です。

異動サイクルに高卒と大卒で違いはあまり見られませんが、特に若手の頃には、配属先に違いが見られます。

高卒(初級)の場合

最初の配属先は、高確率で実家から通える距離にある出先機関になります。

これには2つ理由があります。

  1. 10代の若者に対して一人暮らしや遠距離通勤を強いることはしたくないという人事的な配慮。 
  2.  高卒の若者に与えられる仕事は非常に限定的であるという大人の事情。

高卒(初級)の場合、ストレートで入れば18歳で入庁することになります。半分くらいの職員さんが、自分の息子と変わらない歳の子と肩を並べて仕事をするわけですよ。しかも、地方の場合は都内の高校生と違ってアルバイトなんてしていません。

仕事をバリバリやってもらうというよりは、まずは社会人として適応してもらうことを優先させた人事異動がなされます。特に採用時は仕事内容も大卒に比べ簡易であることが多く、庶務的な仕事が中心となります。

2箇所目以降になれば、本庁勤務や引っ越しを伴う勤務地への配属もされるようになります。ただし総じて、大卒に比べると少しゆとりのある部署へ配属されることが多いです。激務部署にいきなり上位に高卒の子が主事級で入ってきたという話は、聞いたことがありません。

大卒(上級)の場合

 大卒の場合は、最初は出先組と本庁組に半々に分かれ、初めての人事異動の際に出先と本庁を交換することが多いです。はじめから一人暮らしを伴う配属先へ飛ばされることも多く、イチ社会人として扱われます。

優秀だから本庁、劣等だから出先といった区別はありません。総じて若手の頃に出先と本庁の両方を経験させることが、ほとんどの自治体の方針だと思います。

なお、人事からいい意味で目を付けられている人材は若手でも本庁内の異動となることがあります。また、財政課や人事課には若手枠が必ずありますが、この枠にはまるのは99%大卒者です。

また、外部(国などへの派遣)への出向については、主に大卒者が選抜されることが多いです。これについては、語学力や大学での経験など、面接でネタにしやすい話題が豊富ということもあるのかと思いますので、なんとも言えませんが、肌感覚的にはこのように感じています。

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高卒と大卒の出世の違い

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「初級」と「上級」って名前にしているくらいだから、きっと何か差をつけてはいるわよね。

次に、出世についてです。

まず、公務員という職業については、年功序列が基本です。

そのため、ある一定の年齢までは自動的に昇格していくことがほとんどです。

主事〜主査までは完全に年齢での昇格制、それ以上の役職については年齢+実力を見て判断されていくことが一般的な地方公務員の人事異動のパターンです。

主査からの昇格となると、係長(班長)→課長代理→課長→部長→局長となっていきますが、課長以上、とりわけ本庁の課長以上の役職については、大卒が大半を占めています。

しかし高卒だから本庁では使えないとか、そんなことは全くありません。中には東大だけどあまりイケてない職員だっています。

おそらく、国家公務員の総合職と一般職のようなものなのでしょう。

上にいくと管理職となるため、職責は重くなるくせに残業代が出なくなる(代わりに管理職手当がもらえる)から課長代理以下でいいと言う人が多いので、実はラッキーかもしれません。

まとめ

地方公務員の高卒(初級)と大卒(上級)による違いをまとめると、下記の通り。

  • 収入は初任給こそ違えど、定期昇給の幅は同じため、生涯賃金で見ると差は生じない。
  • 若手の頃の人事異動は、高卒は近場の出先。大卒はどこでも飛ばされ、初めから本庁勤務も珍しくない。
  • 出世は大卒優先な傾向。
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