おつかれさまです、公務員大学 総長のはやたです。
公務員を目指すにあたって、自分の志望する職種がどんな仕事内容なのか、気になりますよね。
でも、ホームページを見ても漠然としたイメージしかつかめず、実際にどんな仕事や作業をされているか、イメージがつきませんよね。
私は本記事執筆時点で7年目の職員ですが、勤務先の方針で4つの部署(うち1つは民間へ出向)を経験しています。
本記事では私の1日を通じた形で、公務員の仕事内容について説明したいと思います。
なお、内容としては主に地方公務員(県庁・市役所)となります。現在は国家プロジェクトを行うべく民間へと出向しておりまして、国家公務員の方も多数います。国家公務員を目指す方は目次最後の段をご参照ください。
公務員の仕事内容は、2つに分けられる
公務員の仕事内容は、多岐に渡っています。
民間企業も同様ですが、規模が大きくなればなるほど、業務はより細分化されます。
特に県庁クラスともなれば数千人規模となり、相当細かく業務が分かれています。加えて、公共事業ですから、道路や福祉など、相関性の薄い部局がいくつも存在しています。(ちなみに都庁は10万人規模で、民間含めても日本でトップ10入りするほどの規模だそう。)
そして公務員の仕事は、ものすごくザックリ分けると、2つに区分することができます。
それは、『事業担当者』か『総務担当者』という区分です。
※この区分は、公務員の人事制度の上である単語ではありません。実際はもっと細かくわけられますが、私が県庁で7年間働いた経験から、業務は二分できるだろうと考えたものです。(考え方によってはもっと細かくなると思います)
事業担当者とは
『事業担当者』は、スポーツ大会や各種会議、道路事業といった公共事業の計画立案・運用を担当します。
私が事業担当者だった頃は、毎年実施しているスポーツイベントの企画立案、県出身のスポーツ選手補助制度の創設、専門家を集めての会議開催などを担当しました。
部署によっては花形部署に当たることもありますが、プレイベントや当日の対応など、土日が潰れやすい傾向にあります。
基本的に外向きな業務が多く、週の半分外出していることもあります。
対外的な交渉力はもとより、体力も求められることが多いです。
総務担当者とは
『総務担当者』は、所属の事業が円滑に行われるよう、下で支える業務を行います。
代表的なのは、部局の経理担当。所属の予算を管理し、資金がショートしないか管理しています。
基本的には、対内的な業務が多く、出張はあまりありません。といっても、内部関係者とは頻繁にコミュニケーションを取るため、コミュ力はこちらも必要です。
1年間のスケジュールがかっちり決まっているので、事業担当者に比べると楽なことが多いですが、繁忙期は業務が集中する傾向にあります。
事業担当者の1日
事業担当者はその日その日で仕事の内容が異なります。この日はイベントの日取りが決まったので県政記者クラブへの記者投げ込み資料の作成が業務に入ってます。
ちなみに、投げ込みとは読んで字のごとくで、記者へ資料を投げ入れること。記者は投げ込まれた事業担当者からの情報を見て、興味深いものに対して問い合わせや取材の申し込みを行います。
また、イベントを担当しているため、イベント運営を請け負う委託業者と定期の打ち合わせを行なっています。
その後、翌週に庁内の関係者会議を行うため、資料の作成。
夕方には記者からの問い合わせが数件入ったため、課長と共に回答の対応。
そして今日は特に急ぎの仕事もないため、退勤。
いかがでしょうか。
事業担当者は、その日の仕事がとても流動的です。
上記の例はモデルケースですが、こんなにうまく事は運びません。
事業者との打ち合わせが長引いたり、課長から資料の大幅な手直しを受けたり、外部から突発的な依頼が舞い込んできたり・・・。
イベントが終われば、わりと穏やかなのですが、イベントの前は準備に追われ、予定もなかなかたてられません。
予定していた飲み会をキャンセルせざるを得なくなることや、逆に今日は暇だから帰れるけど予定が何もない!なんてこともよくあります。
残業代はしっかり出る傾向にありますが、『使う暇がない!』となることは事業担当者あるあるのひとつです(笑)
総務担当者の1日
総務担当者は事業担当者と打って変わり、俗に言うルーティンワークが主な業務となります。
職場は到着後、メールのチェック。
事業担当者から前日に来ている質問への対応をします。
その後、定例的な業務として契約書類の作成を行い、以前から相談が寄せられていたイレギュラーな案件について、事業担当者と打ち合わせ。
午後は再びルーティンワークに戻り、本日行うべき会計書類を作成し、午前中の契約書とともに書面稟議を行います。
ここまでで、定型的な業務は終了。
各担当者から寄せられる質問メールをチェックし、回答できるものには回答。少し時間がかかりそうなものには、対応を上司に相談するなどして、翌日以降の業務スケジュールを調整。
無事に17時を迎え、定時退庁。
これが総務担当者の場合のケースです。
事業担当者と異なり、パソコン一台、事務所内での作業で1日が終わることが多いです。
会計系システムは稼働時間が限られていること(18時までとか)から、16時以降に持ち込まれた案件は、翌日対応が原則となる等、ルールが細かく決まっています。
そのため、たまに発生するイレギュラー案件以外は突発業務というものはなく、安定的に定時に帰ることができます。残業がある場合でも、月のルーティンの中での繁忙期など、外的要因ではなく、比較的予定のコントロールがしやすいかと思います。
出張もあまり無く、歯車感が強いですが、プライベートの時間が確保しやすく、また外的要因も少ないため、事業担当者と比べると仕事へのストレスが小さく済むと思います。
番外編
番外編として、私が派遣されている某民間企業の例も併せてご紹介します。
この企業の特徴は、役所と比べてとかく内部での打ち合わせが多いということ。様々なバックグラウンドを持った人が多様な業務を請け負ってるため、役所以上に、簡単なことが決まりません。
また、役所では公的会議の前に、資料や説明内容が変わることは滅多にありません(それまでに調整が済んでいるから)が、直前になって資料の修正指示が飛んで来たりします。
ただ、担当の自由度はとても高く、また決裁文化がないため、スピード感は役所とは比べ物になりません。上司のフットワークも軽く、簡単につかまえて相談ができます。この点、役所では学べなかった点だと感じています。
その他には、幅広い選択肢の時差出勤スタイル・性能の高いパソコン・サテライト勤務の環境(別オフィスでも仕事可能)・オフィスの快適さ(役所は夏暑く、冬寒い!)など、役所より優れている点だと思います。
しかし役所は役所で優れているところがあります。それは、決裁文化が根付いているため、ミスが少なく、責任の所在が明確である点です。電子データファイルの管理方法なんかも、役所の方が意外にキレイにまとまっていたりします。民間は個々の裁量が大きい分、仕事が属人的になりやすいかな、と思います。
まとめ
- 公務員の仕事は、「総務担当」と「事業担当」に、二分することができる。
- 総務担当は日、週、月の流れがある程度決まっているため、スケジュール管理がしやすく、仕事量もさほど多くない。
- 事業担当は突発的な業務が入りやすく、またスピード感が必要となる。加えて通常業務もこなす必要があるため、スケジュール管理が難しく、仕事量も総務担当に比べて多い。イベント前は月の残業が100時間近くなる事もザラ。