こんな疑問に答えていきます。
✔︎本記事の内容
- 県庁と市役所の違い(待遇・仕事内容の違いなど)
- 県庁と市役所どっちがいいのか解説
こんにちは!公務員大学 総長のはやたです。
この記事を書いている僕ですが、9年間県庁職員として働いた元公務員です。(2021.5に転職)
公務員試験は3ヶ月の独学で現役合格しておりまして、公務員試験に関する記事や公務員生活に関する記事を書いています。
地方公務員を志す場合、
「都道府県庁と政令市、どちらを受けようか」
「都道府県庁と地元の市役所、両方受かったらどちらを優先しようか」
とお悩みの方は多いのではないかと思います。
実際、私も結構悩みましたが、私は色々なところに行くのが好きなので、異動の際に転勤を伴う県庁を選びました。
今回の記事では、県庁と市役所でお悩みの方向けに、それぞれの仕事内容や給料などの待遇の話をしたいと思います。
私自身、県庁の職員だったことはもちろん、出向先で市役所の人たちと一緒に仕事もしていたので、情報の信頼性は高い記事となっています♪
①待遇の違い
正直に言って、県庁と市役所の違いで一番気になるのは待遇の違いだと思います。
人間はお金を稼ぐために働きますからね。
サラリーマンと公務員を両方経験してみると、しみじみと感じます。
待遇の中でも重要な「給料」「休暇」について、説明していきたいと思います。
給料
県庁と政令市では、県庁の方がやや給料が良いですね。
少し前のデータですが、東洋経済オンライン(2021.9.13)によると、1,788ある自治体のうちトップ200には、約半数の都道府県庁がランクインしています。市役所の名前もありますが、政令市や比較的規模の大きい自治体が目立ちますね。
- 4位:東京都(733万)
- 19位:大阪府(704万)
- 29位:神奈川県(701万)
- 39位:三重県(699万)
- 51位:徳島県(692万)
- 63位:静岡県(690万)
- 73位:愛知県(687万)
- 91位:兵庫県(682万)
以下101位〜200位には広島県(103位)、滋賀県(112位)、岡山県(132位)、茨城県・山梨県(同率135位)、宮城県・埼玉県・香川県(同率146位)、山形県(154位)、愛媛県・福岡県(同率165位)、和歌山県(176位)、群馬県(190位)、栃木県・千葉県(同率197位)と続きます。
ランキングを参考にすると、規模が大きい都道府県庁の方が給料が良さそうです。
もちろん、政令市の方が高い場合や、平均年齢にも左右されますので、自分が希望する自治体がどの程度の給料なのか、きちんと自分で調べておきましょう。
給料を公開しちゃいます
筆者が30歳の頃の給料を公開しますね。
(私は県庁職員でしたが、この頃は東京都内へ派遣されていたので、給料が1割ほど高くなっていました。)
【30歳地方公務員の給料事情】
— はやた@数字に追われる元公務員 (@nanpa_komuin) June 18, 2020
・年収665万(地域手当20%)
・職員住宅あり(世帯)
・残業600時間くらい
残業なかったら500万ピッタリくらい
地方だと地域手当の分さらに減ります
この数字をどう捉えるかは人それぞれだと思いますが、絶望的に悪くはないというのがわたしの意見です#公務員 pic.twitter.com/VFQaNPdtnT
≫≫関連記事:【給料の公開あり】公務員に転職すると給料は下がるのか?
休暇
休暇については、政令市>都道府県庁>市役所>の順番で取りやすいです。
総務省が公表しているデータを抜粋すると、下記の通りとなっています。
- 政令指定都市:14.0日
- 都道府県:12.3日
- 市区町村(職員301名以上):11.0日
- 市区町村(職員101名以上300名以下):10.0日
- 市区町村(職員100名以下):9.7日
政令市の14日はすごいですね。都道府県も12.3日で6割以上は消化できています。
一方で市役所の11.0日、特に100名以下の場合は有給の取得率が一桁と低迷しています。
あくまで数字上の話ですが、政令市が最も有給が取りやすく、次いで県庁、そして市役所が続くという順番となっています。
有給を取る際の雰囲気
ちょっと現場の雰囲気を紹介したいと思います。
下記は、現役の県庁職員時代のやりとりの再現です。
お昼前になって、上記のやり取りをすることもザラです(笑)。これは忙しい職場であっても、余裕がある職場でも変わりません。
県庁の場合、住民対応が少ないので、自分の休みたいタイミングで休みが取れていましたので、ありがたかったですね。
②人事異動の違い
自治体によるのですが、傾向としては県庁の方が異動スパンが短く、市役所のほうが長い傾向にあります。
あとは引越しの有無も大きな違いですね。
県庁は県内全域に出先機関があるので、本庁内の異動で無い限り転勤を伴います。
一方で市役所は市内に支所はあれど、市内から出ることは無いので転勤を伴うことはありません。
まとめると下記のとおり。
- 県庁:異動サイクル短め(3年前後が多い)。転勤あり。
- 市役所:異動サイクル長め(若手でも5年同じ部署もある)。転勤なし。
なので、安定して一箇所に留まりたい、あるいは地元に留まりたいという人は市役所の方が向いているでしょう。
県庁の場合、特に若手の頃は高確率で県内のへき地へ飛ばされることは、公務員業界の常識です笑。
職員住宅(寮)の有無
もう少し補足しておくと、県庁の場合は転勤を伴うことが多いため、県内各地に職員住宅(寮)が用意されています。
単身でも世帯でも、1万〜2万程度で住める格安の住宅です。
政令市を含む市役所の場合ですと、職員住宅はありません。だって市内に住むことが前提ですからね。
職員住宅(寮)については、「公務員の寮(職員住宅)について【家賃・間取り・築年数など】」にて詳しく解説しておりますので、よければ参考にどうぞ。
③名誉
これは批判を覚悟で書きます。
「市役所職員」という肩書きより、「県庁職員」という肩書きの方が、周囲から尊敬の目で見られやすいです(笑)。
おそらく、一般の人は市役所の職員と接することはあっても、県庁の職員と接することはないので、変に偉い存在だと思われるのでしょう。
あと、下世話な話ですが、市役所の職員曰く「県庁職員」の方が女性ウケがいいらしいです(笑)
もちろん、実際に仕事をしているとわかりますが、職務上は都道府県と市町村の間に上下関係はありません。建前ではなく、本当に対等です。(県庁には市町村を下に見る人もいることはいますが、少数派です)
ここは元県職員として誤解のないよう、きちんとお伝えしておきます。
④仕事内容の違い
県庁職員の仕事は住民からやや遠い
県庁職員は、地方公務員の中では住民の方と接する機会は少なめです。
なぜかというと、県庁は窓口業務があまりないんですよね。
県庁職員の主な仕事は市町の事務指導や国との調整など、いわゆる「to B」の仕事が中心です。
もちろん、出先であれば、県税事務所など一部の機関で対住民の業務がありますが、県全体で見るとメインの仕事ではありません。
市役所は住民との距離が近い
一方、市役所は住民との距離がとても近いです。
市役所の場合は窓口業務、つまり対住民への業務が県庁とは比べ物にならないくらい多いので。
人口10万人程度の市でも、市役所の人と街を歩けば
と、そこらじゅうで声をかけられます。
プライバシーないんじゃないか、と心配するくらい。
また、首長との距離も近いことも市役所の特徴です。都道府県では知事と会話できるのは側近の幹部くらいですが、市役所ではヒラ職員も首長から意見を求められることも珍しくありません。
市役所の内部でも外でも、接する相手との距離が近いところが、市役所の特徴ですね。
市役所と県庁どっちを選ぶべきか
人によってケースバイケースだと思いますが、私の意見としては2通りの考えがあります。
- 働きやすさを求める人→給料が良く休暇の取りやすい県庁を選ぶべき
- 一つの場所でじっくりと働きたい人→転勤がなく、人間関係が濃い市役所を選ぶべき
もちろん、市役所が働きにくいと言っているわけではないし、県庁だって子どものいる世帯は転勤は少ないです。
とはいえ、全体的な傾向としては間違い無いと思うので、受験の際は参考にしてみてください。
県庁の話を深掘りして聞きたい人へ
元県庁職員としての経験をまとめた「【9年の集大成】公務員生活のすべてを語るnote」というnoteを作りました。
-
「県庁の残業時間が気になる・・・」
「私生活はどんな感じなんだろう・・・」
「県庁の具体的な仕事内容が知りたいな・・・」
「【9年の集大成】公務員生活のすべてを語るnote」では、上記のお悩みの答えを全て網羅しています♪
有料ですがたったの500円なので、よければチェックしてみてください♪
まとめ
市役所 | 県庁 | |
給料 | 県庁より少ない傾向 | 市役所より多い傾向 |
有給 |
県庁より少ない (年平均11.0日以下) |
市役所より多い (年平均12.3日) |
異動先 | 市内のみ | 県内各所 |
名誉 | そこそこ | 周りからの評判は高い |
仕事内容 | 住民との距離が近い | 住民との距離は遠い |
給料と有給の取りやすさは県庁に軍配があがりますが、異動や仕事内容は好みの問題ですね。
新しい土地が好きな人もいれば、逆の人もいると思いますので。
今回の記事を踏まえて、どちらがより自分の性格、やりたいことと合っているのか考えてみてください。
直接質問があれば、TwitterでDM頂ければすぐにお返事します!
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